冬でも「普通の革靴」で通したい人へ
北海道・札幌でスタイリストをしているQです。冬になると必ず相談されるのが「スーツに合わせる靴、どうしたらいいですか?」という話。正直に言うと、冬の北海道を、普通の革靴だけで乗り切るのはかなりハードモードです。

「いかにも冬靴です!」みたいな見た目はイヤ。でも、夜のススキノでツルッといくのも怖い。この矛盾にずっと悩んできました。
僕自身、冬でも革靴を履くことが多く、すすきのの帰り道で何度かヒヤッとしたことがあります。レザーソールのドレスシューズでアイスバーンに乗ると本当に滑ります。「あ、これ普通に危ないな…」と実感した瞬間でした。
そこからダイナイトソールに貼り替えたり、会社に革靴を置いて通勤だけスニーカーにしたりと、いろいろ試しました。その結果、ちゃんと選べば“見た目は普通の革靴なのに冬でも現実的な一足”が存在するということに気づきました。
冬でも革靴派が押さえたい3つのポイント
「冬用っぽい靴はイヤ。でも転ぶのもイヤ。」そんな人がまず知っておくべきのはこの3つです。
① ソールは“見た目シンプル・性能ラバー”が最適解
ダイナイトソールやライトラグソールは、見た目がゴツくないのに滑りにくいというバランスの良さがあります。濡れた路面やうっすら雪の上でも粘りが効くので、冬場の革靴としては定番の選択肢です。
② アッパーは“水に強い革”かどうか
オイルを多く含んだレザーや、GORE-TEX搭載モデルは雪の日でも劣化しにくい特徴があります。雨・雪・ slush(シャーベット状の雪)に強い革を選ぶと長持ちしやすいです。
③ フィット感と“くるぶし当たり”は軽視しない
冬は厚手の靴下を履くので、甲やくるぶし周りの当たりが強く出やすくなります。REGALなどはモデルによってはくるぶしの位置がやや高めのものもあり、人によって当たることがあります。冬用の一足ほど試し履きが重要です。
私が見た目も機能も両立していると思う革靴
ここからは、僕が「冬の北海道でも現実的に使える」「ビジネスで浮かずに履ける」と感じているモデルを紹介します。もちろん最終判断はあなたの感性でOK。あくまで“選び方の軸”として見てください。
REGAL「35HRP / 810R(GORE-TEX × 雪道対応ソール)」

まずは日本の定番ブランド REGAL。見た目は普通のビジネスシューズなのに、防水・耐滑性能を備えたモデルが豊富です。
代表的なのが35HRP(ストレートチップ)。GORE-TEX×雪道対応ソールで、防水性・耐滑性ともに優秀。810Rはプレーントゥで、冠婚葬祭にも使える万能さがあります。
REGALやKENFORDはモデルによっては履き口がやや高めで、外くるぶしに当たりやすい場合があります。「冬用は長時間歩く」前提なので、くるぶし当たりだけは必ず確認してみてください。
SANDERS「Military Derby Shoe(1128B / 1128TD)」

イギリス軍御用達ブランド SANDERS。ミリタリーダービーは、耐久性・耐滑性・見た目の上品さがうまく共存している名作です。
ポリッシュドレザーの上品な質感に、スタッド(突起)付きラバーソールの安心感が合わさったバランスの良い一足。ジャケパン・コートスタイルに非常に合います。
最初はスタッドソールが硬く感じます。数日慣らし履きをするとフィットが安定します。
KLEMAN「PADROR / FRODAN」

フランスのワークシューズブランド KLEMAN。PADROR や FRODAN は、“革靴っぽいのにスニーカー感覚で履ける”と感じるほど足馴染みが良いモデルです。
EDITOラバーソールは滑りにくく、濡れた路面にも強いのが特徴。ビジカジやオフィスカジュアルで使いやすく、黒を選べば冬の出勤靴として非常に優秀です。
革が柔らかいため型崩れしやすいので、シューツリーを使うときれいな形を保てます。
Tricker’s「BOURTON(ダイナイトソール)」

実売価格:¥59,800〜¥132,000
重厚な英国カントリーシューズの代表格。雪道に強い構造+レザーの重厚感で、冬の街を歩くには抜群の安定感があります。
ダイナイトソールは滑りにくく、ストームウェルト構造が雪や水の侵入を防いでくれます。「今日は歩く距離が長いな」という日に頼れる一足。
重量があるので、軽さ重視の人には不向き。でも“冬靴としての安心感”はこれ以上ないレベル。
Paraboot「CHAMBORD」

フランスの全天候型レザーシューズ。リスレザー×ラバーソールの組み合わせは雪道と相性抜群です。
水に強く、レザーがふやけにくく、雪の日にも安心して履けます。黒のCHAMBORDならビジネスにも合わせやすく、冬のメインシューズとして使える万能選手。
リスレザーは油分が多く、白い“ブルーム”が浮くことがあります。これはカビではなく油分なので、ブラッシングで簡単に消えます。
まとめ:冬の革靴選びは「妥協」じゃなく「戦略」
冬の北海道で普通の革靴を履き続けるのは、正直なところ現実的ではありません。でも「冬靴っぽい見た目」は避けたい。その気持ちもすごくわかります。
今回紹介したように、冬でも“革靴らしさ”を保ちつつ、安全性も確保できるモデルは確実に存在します。

気になるモデルがあれば、服の合わせ方や職場の雰囲気に合わせて、あなたに合う形も一緒に考えていきましょう。


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